17時間目 「むくみと東洋医学」今回のテーマである「むくみ」とは一体何なんでしょうか?お酒を飲みすぎたとき、生理中、薬の副作用、寝たきりなど普段常に感じることのできるポピュラーな症状です。しかし、この「むくみ」は体が出す重要なサインでもあるのです。 では、今回も西洋医学からみた「むくみ」と東洋医学からみた「むくみ」について勉強していきましょう。日常的に使えるアドバイスもプラスしていきます。 では、まず西洋医学的にみたむくみからです。ヒトの身体は水分が60%を占めるといわれています。この水分の移動に問題があるとむくみの症状が出るわけです。ちょっとここで、身体について勉強しましょう。ヒトの静脈には逆流を防止する「弁」が付いています。動脈と比べ、静脈の血圧はとても低いので送り出す力がありません。ここで身体を支えている筋肉が必要となります。筋肉による筋ポンプにより、心臓に送り返し、「弁」が逆流を予防するのです。しかし、ヒトによってはこの「弁」が壊れていることがあります。そうするといくら筋肉が押し出しても戻ってしまい、特に重力のかかる下半身に集まるわけです。そして、ヒトの身体には「浸透圧」があります。浸透圧とは簡単にいうと低い所から高い所に水分が移動することです。ここに水槽が有ります。この水槽の中央に半透膜(昔、中学で勉強した細胞膜のようなもの)を置き、水槽を二つに分けます。半透膜を置くことで細胞の中と外を作ったわけです。片側に塩を入れると塩の濃度が高まります。そうすると・・・、塩の濃い側を薄めようと、塩の入っていない側から水だけが移動します。これで二つに分けられた水分の濃度は均等になります。しかし、水は塩の濃度が高い側に移動しているので、量が増えているわけです。これがヒトの身体の中で起こると「むくみ」として血管の外に出てくるわけです。つまり、身体の中にある塩分や蛋白質などの量がむくみを引き起こすのです。食事の不摂生(食べない)により血管中の蛋白質が少なくなってしまうことにより血管内から血管外へと水分が移動し「むくみ」となります。また、塩分の高いものを食べることにより、脳から咽の乾き信号が出て、体が水分を欲しがり、一時的に血管内に水分が過剰になるので、「むくみ」となるわけです。 これは、お酒を飲んだ翌朝に、顔がむくむという体験と同じです。アルコールには利尿作用(尿を出しやすくする作用)があります。水分が外に出てしまいますと、血液の中のアルコールの濃度が高くなってしまうことにより、体は危険を感じてしまい水分を摂ろうとします。お酒を飲んだ後に水分を摂りたくなるのはこのためです。この時、余分に摂った水分が「みくみ」となって出てくるのです。また、お酒の席のつまみは塩分が濃く、過剰なナトリウムを体に入れることになります。この過剰なナトリウムも「むくみ」の原因になっているのです。 そして、怖い心臓、腎臓、肝臓、甲状腺、ホルモン異常、薬の影響による「むくみ」もありますので、定期的な体のチェックをしましょう。 では、次に東洋医学の「むくみ」について、考えていきましょう。 東洋医学では、「むくみ」を「痰湿」、「水腫」といいます。「水腫」とは、頭顔面部、眼瞼(まぶた)、四肢または全身に起こる浮腫のことです。中医学では「奇病・痼疾はみな痰に関連する」という言葉があります。原因不明の変な病気や治りにくい病気は痰に関連していることが多いという意味です。 体内の水の運搬は、主に肺の気の通調作用、粛降作用、脾の気の運化作用、腎の気の開闔作用、三焦の水道作用などが関係しています。少し言葉が難しいので、解説をしますね。通調とは字のごとく、流れを調節することです。粛降は、酸素や栄養を身体の下方へ送り出すという意味。運化は、運搬のことです。開闔とは開けたり、閉めたりする作用です。水道は通り道を表します。「むくみ」と関係の深い臓腑は、肺、脾、腎、そして通り道である三焦が密接に関わります。これらのどこかで、トラブルが起こると「むくみ」となります。 肺は、風邪などの悪いものが外から入ると、肺の気が傷つき、通調作用、粛降作用が低下し、体に水が停滞し、消化機能の中心である脾が水による影響を受けたり、三焦の水道作用が不通となると「むくみ」を生じます。また、食事の不摂生、疲労、過度の性行動により、脾の気と腎の気が損傷し、さらに膀胱の作用が低下することによって水の排泄ができず「むくみ」となります。 「脾は生痰の源、肺は貯痰の器」といいます。痰が作られるのは主として脾です。これはどういう意味かと言うと、脾の機能が弱い人は痰を作りやすい。又、食べ物の内容によって痰ができやすいという意味になります。又、肺は痰を蓄える臓器という意味です。食べ物ではお酒の飲み過ぎや美食のしすぎは痰を作る原因になります。冷たい牛乳を飲み過ぎることも痰の原因になると指摘する先生もいます。 「むくみ」は水の停滞ですから、体は冷えやすくなります。冷やす作用は基本物質である「血」、「水」が担い、温める作用は「気」が担います。冷えにより、「気」の温める力は弱まり、更なる冷えやむくみを生み出します。そして、全体的に気の力が低下すると、基礎代謝を促す作用が弱まり、血の滞り、水の滞りとなり、女性では生理不順、生理痛、不妊症など更なる症状の引き金となるわけです。 少し、難しい話となってしまいました。今回、言いたかったことは「むくみ」は重大な体からの信号であるということです。デスクワークだから仕方ないだとか、ハイヒールをはいているからとか、そんな簡単に済ませてはいけません。 一時的な解消法として、座りっぱなしの人は、せめて足首の運動をして、すねの筋肉とふくらはぎの筋肉を使ってむくみを予防しましょう。また、腹筋を使うこともむくみ予防となります。そして、重要なのは食事でしょう。塩分など味の濃いものやアルコールは、体に水を引き込みます。少し、薄味で食事しましょう。特に、気が不足し、冷えやすい人はさくらんぼ、胡麻を食べて、水の流れの悪い人はパイナップル、スイカ、豆類を食べて予防してみてはどうでしょうか。西瓜の皮は「西瓜翠衣」と呼ばれ、清熱解暑の作用があります。そして、アロマテラピーでは、柑橘系やジュニパー、ラベンダー、ゼラニウムが効果的です。 次回は、日常生活に取り巻くストレスについてお話します。 |
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