12時間目 「西洋医学と東洋医学の違い」今回のテーマは西洋医学(現代医学)と東洋医学(中国医学)の違いを考えます。私は以前、病院で仕事をしていたので西洋医学の素晴らしさを知っていますし、現在行なっている東洋医学の素晴らしさも知っています。両者とも患者様を救うという同じ目的ですが、多くのズレがあるために上手に利用できないという現状があります。一体どういう違いがあるのか考えていきましょう。両者の医学は、簡単に述べてしまえば、健康観に大きな違いがありそうです。では、その健康観をそれぞれみていきましょう。 健康に不安を感じたときや体調に不調を感じたとき、多くの人は病院に行って検査を受けようと考えるでしょう。人によってはサプリメントや栄養ドリンクを飲もうとするでしょう。また、風邪を引いて咽が痛い人は痛み止めのお薬を飲むことを考えるでしょう。症状がないけど、体に無理がきかない人は運動不足と考え、ランニングやウォーキングを行うでしょう。 現代医学の健康観の根底にあるのは「恒常性(体を一定に保つ)」という考え方で、それが一定であるものを「正常値(基準値)」、それをはみ出たものを異常値として捉えます。人は恒温動物なので体の中の状態を一定に保とうとするシステムがあります。つまり、一定の状態にあるのが健康であり、そこからはみ出たものが病気というわけです。 体の中のいろいろなものを測定してみると、病気によって変動するものがあります。代表的なものに血糖値やコレステロール値があります。さらに、物質ではなく心電図やCT、MRIなど生きた体から解剖するかのようにたくさんの情報が得られるようになると、さらに、正常値というものが作られ、それが「健康」という土台となるわけです。 わかりやすく説得力のある「健康」であるようにも思えますが、正常値なのに異常のある人、異常値なのに病気のない人、年齢や個人差というものの配慮が難しいこと、数値や形に置き換えられないものは判断できないなどの欠点があります。 残念なことに、人間があたかも精密機械であるかのように、「いつも同じ状態であるのが正常である」という感覚を植えつけてしまいました。しかも、それは人の体に限ったことではないように思われます。24時間昼間の明るさを保ち、1年中一定の温度を保ち、旬の食べ物は養殖により年中食べられる。すべてにおいて「恒常性」が重要視されているのです。 次に東洋医学の健康の特徴は「常に動いている」ということです。いつもと同じようにみえても一瞬として同じ状態ではないという考えです。じっとしているときにも、体の中では常に何かが動いています。この体の中で動いているものは東洋医学でいう「気」、「血」、「水」という物質です。この物質の流れに異常が起きて、停滞、渋滞などをすると病気を生じると考えられています。中でも「気」は物質の運搬という仕事をしています。つまり、「気」の流れが順調である必要があるのです。 気の流れはストレスや強い感情の変動によって滞りが起きます。これを「気滞」と呼んでいます。気滞により精神異常、コリ、痛みが起こり、さらに血の滞り(お血)や水の滞り(痰湿)が生じます。 体内の物質をスムーズに動かすために、運動することはとてもよいことです。同じ体勢で長い時間じっとしていると、体がむずむずしてきたり、あちらこちらがこってきて落ち着かなくなるのは、こうした、「常に動いていること」を保とうとする仕組みによる合図なのです。 体の動きだけでなく、東洋医学では気持ちの状態も大切にします。気持ちが軽やかで、のびのびとしていることが、体の働きを健康な状態に保つ上で必要だとしています。くよくよして、考え込み、心配事や暗い気持ちは「気滞」を生じるのです。 このように東洋医学の健康観は体と気の両方の動きをスムーズに保つことが重要となります。ですので、ただ水泳やジョギングが体にいいという発想にはなりません。運動をすればいいというものではなく、楽しく、面白く、のびのびと運動を心がける必要があるのです。 簡単な例を挙げて、両者の見方をお話してきました。少しまとめてみましょう。 まずは自分達のまわりからです。私たちのまわりでは天候や温度、湿度や食事、さらには人間関係まで、体や心の働きに影響を与えるものがたくさんあります。そして、内面からみてみると体質や年齢、疲労や不摂生、体のひずみが体や心に影響を与えます。それらが組み合わさり健康状態を変化させているのです。 しかし、人の体、自然には「自然治癒力」が存在します。この働きによって自然とバランスをとっているのです。つまり、西洋医学でいう「恒常性(一定に保つ力)」は「常に動いている」体の働きによって調整された結果、生まれてくるものなのです。 ですので、外界の変化、体内の変化に応じて、体の状態を自由に変えることができる間は健康であるといっていいのではないでしょうか。 |
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