10時間目 「薬膳」現在、健康志向の波に乗って「薬膳」が広まりつつあります。しかし、薬膳とはどういうものをいうのでしょう?西洋医学と同様に科学的根拠に基づいたものでしょうか?そうではありません。あくまでも中医学の考えによって成り立つものだということを忘れてはいけません。 現在、西洋医学では遺伝子解析を行い、その人、個人にあった治療を行なう医療が考えられています。しかし、中医学でははるか以前より、個人にあった治療を行ってきました。つまり、鍼灸、漢方に限らず薬膳においても、個人全体を把握し、体質・原因を追究し、個人に適したものを提供することが基本となっています。 中医学では、人体は自然界の変化の影響を受け、体の陰陽や五行のバランスが崩れて病気になると考えられています。薬膳はこれらのバランスを調えるために、毎日の食生活を通じて行なう「食療」または「食治」です。 「中国薬膳大辞典」によると、薬膳とは、「中医学理論のもとで、中薬と食物を配合し、伝統的飲食調理技術と現代的加工方法を用い、色・香・味・形のすべてによく、保健と治療に効果のある食療食品、料理の総称とあります。そしてその目的は、「食品の性質と成分を応用し、一定の臓腑に作用し、気血を調和し、陰陽を平衡し、疾病の予防や健身延年を目指す」とあります。 さらに、薬膳で最も重要なことは、「美味しい」ということです。薬膳という名前を想像すると苦そうだとか、変な味がすると思うかもしれませんが、あくまでも毎日の食事です。まずいと思うものを我慢して食べても心身に良いことはありません。味を考え、美味しく、楽しく毎日食べることが必要です。繰り返しますが、保健的養生を担う薬膳はたった一日食べたとしても効果はありません。毎日とれる食事でなければ意味がないのです。 では、実際の薬膳について触れていきましょう。 薬膳で使用する食材には一定の性質があります。その性質を知ることで摂取するべき食材や調理法が見えてくるのです。食材の性質には次に挙げる3つがあります。@「四性」、A「五味」、」B「入経」です。では一つずつみていきましょう。 @四性は四気ともいわれ、温、熱、涼、寒に分かれます。 熱性、温性の食材は体内の寒気を取り除き、精気や陽気を強くして、体を滋養します。 寒性、涼性の食材は体内の悪い熱やのぼせをなくし、唾液や体液の分泌を促して、血を滋養し、栄養不足を改善します。 温・熱と涼・寒に当てはまらない場合は、比較的作用が穏やかな「平性」のものをとります。この食材は作用が穏やかなので、ゆっくり時間をかけて体力を回復させます。 A「五味」です。五味は五行学説でもいいましたが、木(肝)・火(心)・土(脾)・金(肺)・水(腎)に当てはめたものです。木は酸味、火は苦味、土は甘味、金は辛味、水は塩味です。では、それぞれの味にはどのような働きがあるかみていきましょう。 酸味は、筋肉を引き締め、汗や尿などが出すぎるのを止める作用と免疫力を高める作用があります。また、酸味の摂り過ぎは胃腸に負担をかけます。 苦味は、余分なものを排出し、乾燥させる作用があるので、体内の熱や水分を外に出します。また、苦味は体の「陰」を傷つけやすく、体が熱っぽい方には合わないとされています。 甘味は、滋養強壮や止痛、毒消しの作用があります。また、摂り過ぎは体に熱がこもりやすいので余分な水分が溜まりやすい性質があります。 辛味は、滞っているものを発散させ、気血の流れを良くする作用があります。また、摂り過ぎは体の「陰」を傷つけるので、体が熱っぽい方には合わないとされています。 塩味は、固まりをやわらかくし、流す作用があります。また、摂り過ぎは「腎」に負担をかけます。 B「入経(帰経)」とは、食材が五臓六腑のどこの部位に作用するかを長年の観察の結果に基づいて表したものです。Aでお話した「五味」と多少重複します。例えば、脾、肺に入る特性をもつ食物では、胃腸の働きを活発にし、食べすぎを緩和し、気のめぐりを改善したり、胸が詰まって息苦しい感じを解消します。 まだまだ書きたいことはありますが、情報量が豊富すぎるため、このあたりにしておきます。さらに詳しいことが知りたいのであれば、本を入手してみるのもいいでしょう。また、私もまだまだ勉強中ですが、なにか疑問などございましたら、メールなどいただければ、答えられる範囲でお答えいたします。では、次回は年明けに鍼とお灸についてお話いたします。ご期待下さい。 |
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