5時間目 「腹八分目」まだまだ残暑が残っておりますが、そろそろ季節は秋。食べ物が美味しい季節がやってきます。冬眠への準備のようについつい、食べ過ぎてしまう方も多いと思います。そこで、今回は食事にまつわるお話をしていきます。ズバリ、「腹八分目」です。 「腹八分目」とは、満腹になるまで食べるようなことをしないで控えめにする、そうすれば健康で病気にならないから医者はいらないのだという言葉です。おそらく江戸時代のころのものといわれています。中国にも「飲食知節、疾病不生(飲食に節度を知っておれば、疾病は生じない)」ということわざがあります。これらの語源と考えられているのは、「腹を量って食す」や「飲食に量あり」というものです。 私たちは生きていくために「気・血・津液」という正気が必要です。この正気の原料となるものは両親から受け継いだ先天の精と食事などから得る後天の精です。先天の精は年齢とともに少なくなっていくので、食事によって精を補います。そうすることで、原料である気を生み、正気を作り出すのです。 しかし、ただ食事をすればいいという問題ではありません。適切な量を、適切な成分をとることが重要なのです。まずは「量」、今回のテーマです。 食事は口から胃に入ります。胃という臓器はとても潤いが好きで、乾燥するのが嫌いです。そんな胃の仕事は3つあります。食べ物を受け入れ(受納)、ある程度細かくして(腐熟)、胃の下にある臓器に食べ物を送る(和降)働きをしています。では、量をとりすぎた場合、胃はどうなるでしょう?当然、胃の仕事である3つは行なえなくなります。下に食べ物が降りなければ上に出るしかないでしょう。これを胃気上逆といます。症状として胃のつかえ、もたれ、げっぷ、吐き気、胸焼けなどが起こります。 また、東洋医学では、消化吸収の中心的存在として「脾」があります。西洋医学でいう脾臓とはまったく異なった臓器です。脾は胃とは逆で、潤いを嫌います。胃に大量に食物、水分が入ることで、胃を越え、脾に影響を及ぼすことがあります。脾の働きは、食べ物、水分を運び、気・血を作り、血が血管からもれるのを防ぐなど、多くの働きがあります。つまり、脾とは、消化吸収だけでなく、生命活動を営む重要な臓器なのです。脾の不調で食欲がない、疲れやすい、だるい、いつも眠たい、顔色が悪い、めまい、耳鳴り、不眠、生理が遅れる、下痢や便秘などの症状を引き起こします。 食事は毎日のことですから、普段の積み重ねによって、知らず知らずのうちに脾の働きを崩していきます。脾のトラブルはあらゆる障害を起こすということを知っていただきたいと思います。いかに食事を慎重にとらなければならないかわかると思います。 治療ですが、消化を助けるため消食導滞、脾の働きを高めるために健脾をします。経穴では、足三里(あしさんり)、気海(きかい)、三陰交(さんいんこう)、天枢(てんすう)、内庭(ないてい)、中かん(ちゅうかん)、内関(ないかん)を刺激します。アロマテラピーではスイートオレンジ、カモミール、クラリセージ、マージョラムなどがおすすめです。 |
←スタディルームTOPへ ▲ページTOPへ


